
周囲の臓器に浸潤したり、リンパ節に転移した進行肺がんに対し、岡山大学病院(岡山市北区鹿田町)は化学療法と放射線療法を同時併用した後に手術する集学的治療で成果を上げている。国内トップレベルの肺移植の技術と経験を生かし、患者の体外に取り出した肺から腫瘍を摘出して戻す「自家肺移植」も成功させた。確定診断をつけるための第一選択となる気管支鏡検査については、岡山労災病院(岡山市南区築港緑町)の取り組みを取材した。
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早期肺がんの多くは胸部エックス線撮影やCT(コンピューター断層撮影)、あるいは喀痰(かくたん)細胞診の検診で見つかるが、がんと確定診断するためには気管支鏡を挿入し、直接組織や細胞を採取する検査が必要になる。
岡山労災病院の藤本伸一第2呼吸器内科部長は「CTの精度も向上しているが、画像で分かるのはあくまでがんの疑い。他の病気と鑑別するには、内側からアプローチする気管支鏡が第一選択になる」と言う。
気管は左右の肺に分かれて分岐を繰り返し、末端の気管支は直径0・5ミリ程度になる。検査に用いる気管支鏡は、胃カメラなどと同様のしなやかな内視鏡で直径5ミリ前後。カメラで直接観察できるのは、比較的肺門部に近い分岐までだ。
病変が末梢(まっしょう)部分にある場合、エックス線撮影で場所を確認しながら進める。先端から針金状の鉗子(かんし)を突き出して組織をつまみ取ったり、ブラシでこすって細胞を採取する。さらに生理食塩水を注入し、回収した洗浄液からがん細胞を探す検査も行われる。
近年、肺がんの化学療法が進歩し、分子標的薬イレッサ(ゲフィチニブ)などを処方するには、病理検査で遺伝子変異を調べて適応を判定することが大切になっている。このため、「十分な量の検体を採取する気管支鏡検査があらためて重視されてきている」と藤本部長は話す。
通常はのどの局所麻酔で検査するが、異物を咳(せき)で排除するはずの気管内へ挿入するため、苦しさを伴う人もいる。同病院も患者の状態により、眠れるような鎮静剤の使用も考慮する。まれに出血や気胸が起きる危険はあるが、止血剤を注入したり、安静にしていればほとんど軽快する。
気管支を外れた奥の肺野にあったり、病変の大きさによっては、気管支鏡が到達できないこともある。同病院では次の方法としてCTガイド下生検を行う。CT撮影で病変の場所を確認しながら、局所麻酔した皮膚の上から生検針を刺して組織採取する。
骨に隠れて針も届かないなどさらに難しい場所にある病変は、胸の皮膚を切開して肋骨(ろっこつ)の間から胸腔鏡を挿入したり、開胸手術によって組織採取しなければならないケースもある。いずれも全身麻酔を必要とし、患者の体への負担が重くなる。
「CTガイド下生検は放射線科、手術的な検査は外科が担当する。カンファレンスで議論して検査法を決めている」と藤本部長は説明する。
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肺がん おおもと病院 藤本伸一 気管支鏡検査 |
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