

うつ病は患者数が急増し、年間3万人を超す国内での自殺の主な原因・動機とみられている。万成病院(岡山市北区谷万成)の小林建太郎理事長・院長(精神科)に症状や治療法について聞いた。
―うつ病の症状は。
基本的には感情障害ですから、やはり抑うつ気分ですね。気分の落ち込み、寂しさに加え、意欲がなくなり、何に対しても興味を持てなくなる、といった精神症状が主体です。
ただ身体症状を伴うことが多く、食欲不振、体重減少、睡眠障害も高い頻度で出ます。自律神経の症状も割とよく出て、頭重感(ずじゅうかん)って分かりますか。頭痛というよりは重たい感じ、ヘルメットをぐっとかぶっているようなうっとうしさです。また動悸(どうき)や便秘、性欲減退、女性なら生理不順。
精神症状が隠され、身体症状ばかりが出て内科とか一般の開業医を受診するケースが多いです。
―精神科を受診しないのですか。
初めは、ですね。抑うつ気分や意欲減退がそれほどメーンの症状になりませんので。うつになるとご本人が外へ訴える力も落ちますから、家族の方が、あれっていう感じで受診を勧めます。精神科に対する敷居の高さもまだあるので、最初は内科の方へ行かれることが結構多いのではないかと思います。
―うつ病と単なる気分の落ち込みの違いは。また、うつ病の特徴は。
違いを考える上で「持続期間」と「程度」の二つを外してはいけないと思います。
持続期間は、抑うつ気分が2週間以上は持続するということです。ちょっとショックなことがあって昨日は落ち込んでいたけれども、ぐっすり寝て、次の日はすっきりしていたというのは、うつ病ではないですね。次に程度の話ですが、仕事に行けなくなるとか家事ができなくなるといった、うつが原因で日常生活に支障を来すような程度です。
ノイローゼで起こる不眠は不安が大きく寝付きが悪いのですが、うつ(新型うつ病とは違う従来のうつ病)は早朝覚醒(かくせい)が特徴です。疲れ果てて眠るのですが、すぐ目が覚める。午前2時、3時に目が覚めて朝6時、7時まで悶々(もんもん)と過ごすような不眠です。
従来のうつでもう一つ特徴的なのは、午前中は何もする気にならず体も動かず、だるい。昼ぐらいから少し動けるようになり、夕方には具合が良くなってくる。一日のうちでも波があるのです。日内変動と言います。
―厚生労働省の調査で1999年に44万人だったうつ病患者は、2008年には104万人に増えました。9年間で2・4倍です。
患者急増の背景は、メンタルヘルスへの関心が高まり、啓発活動が実を結んでいる成果かもしれませんが、軽症のうちに受診するパターンがあるのではないかと思います。軽症ですから数は多い。
それから診断基準です。「DSM―IV」(米国精神医学会の精神疾患の分類・診断基準)などに代表されますが、症候学というか、こうした症状が何個あれば、この診断にしなさいという操作的な診断基準が全盛です。抑うつ神経症といったノイローゼに近いものも、うつ病に入ってしまう。うつ病の範疇(はんちゅう)が広がり、多様になっているのです。
最近「新型うつ病」というものも聞かれます。従来のうつ病の特徴は、自分が駄目だから会社も駄目になったとか、自責感覚が非常に強い。新型うつ病は他罰的というか、上司が悪いとか、会社のやり方が悪いから自分はうつになったというふうなタイプです。
―治療法は。
いろいろありますが、基本的には薬(薬物療法)と休養だと思います。薬は三環系(さんかんけい)抗うつ薬が代表的でしたが、十数年前からSSRI(選択的セロトニン再吸収阻害薬)という新タイプの抗うつ薬が出てきました。脳内の神経伝達物質のバランスを取り戻す働きがあります。効果は薬を飲み始めて最低1週間から2週間たたないと出てきません。
うつ病になりやすい人は、まじめ、責任感が強い、きちょうめんといった性格傾向があります。「執着性格」と言い、非常にいい性格ですが、そういう人はかえって休めない。頑張って、頑張って、さらに頑張るタイプですから。うつというのは、器質性に対する機能性の病気、一過性で必ず回復する病気です。いかに休ませてあげられるかが勝負です。
―患者や周囲の心構えで大切なことは。
半ば精神療法にもなりますが、うつ病という病気を認めることです。先ほど申しましたが、休養が何よりの治療であり、必ず治るということを、まずお伝えします。また、うつの時期に人生の重大な決定をしないことも大事です。例えば退職願や離婚届。お分かりでしょうけれど、うつの時期は物事を悪い方にしか考えず、後で取り返しのつかないことになります。
一番の悲惨な結果は自殺です。自責の感覚が強まっていくと、本当に申し訳ないという思いがどんどん強くなる。問診をしていて、ご本人が自分を保とうと必死でこらえていらっしゃるのが分かります。思い詰めるのは危険です。自殺念慮は口に出させてあげた方が実際の行動は止まることが多いと感じます。
うつ病はすべて悪いのではなく、執着性格でばりばり仕事一筋で来た人にとっては転機になる可能性もあります。何か大きな病気というのは、自分の生き方をもう一遍見直す、新しい自分を発見する糸口にもなる。うつ病も、その一つではないかと思うところがあります。
病のあらまし
うつ病は、心理的な要因やストレス、疲労などさまざまな原因によって、脳内の神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリンなどのバランスが崩れて引き起こされる、と考えられている。薬を服用しながら休養を取るなどの通院治療で治る場合もあるが、症状が重かったり自殺の危険性がある場合には入院が必要になることもある。
「ツング自己評価うつ病尺度」=表参照=は、米国の精神医学者ツング博士が論文で発表したチェック方法で、広く利用されている。質問は20項目あり、4段階で自己評価する。合計点が39点以下は「抑うつ傾向は乏しい」、40〜49点は「軽度の抑うつ傾向あり」、50点以上は「中程度の抑うつ傾向あり」とされる。
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精神 精神神経科 県南東部 |
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万成病院 小林建太郎 うつ病 |

第23回 乳がん おおもと病院 山本泰久理事長・名誉院長
第22回 悪性リンパ腫 岡山労災病院 矢野朋文・第2内科部長
第21回 緩和ケア 岡山済生会総合病院 石原辰彦主任医長
第20回 乳がん 川崎医科大付属病院乳腺甲状腺外科・園尾博司部長
第19回 うつ病 万成病院 小林建太郎理事長・院長
第18回 統合失調症 慈圭病院 武田俊彦副院長
第17回 重症心身障害児・者の医療 旭川荘療育センター児童院 片山雅博院長代理
第16回 尿路結石 岡山中央病院 入江伸医師
第15回 感染制御 光生病院 吉本静雄副院長
第14回 手の外科 笠岡第一病院 橋詰博行院長
第13回 小児整形外科の三大疾患 旭川荘療育センター療育園 小田浤院長
第12回 大腸がん おおもと病院 磯崎博司院長
第11回 膀胱がん 松田病院 森岡政明診療部長
第10回 皮膚がん 川崎病院皮膚科 荒川謙三部長(院長補佐)
第9回 未破裂脳動脈瘤 岡山旭東病院 吉岡純二診療部長
第8回 心筋梗塞 心臓病センター榊原病院 山本桂三副院長
第7回 人工関節(MIS) 岡山労災病院人工関節センター 難波良文センター長 
第6回 食道がん 岡山大病院消化管外科 猶本良夫科長
第5回 肺がん 岡山赤十字病院 渡辺洋一副院長
第4回 大動脈解離、大動脈瘤 国立病院機構岡山医療センター心臓血管外科 岡田正比呂医長
第3回 胃がん 倉敷中央病院 小笠原敬三院長
第2回 肝がん(外科手術) 岡山済生会総合病院 三村哲重副院長
第1回 糖尿病 川崎医科大付属病院 加来浩平副院長
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理事長室から
理事長・院長
小林建太郎
地域との連携強化に力 |
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診察室から
精神科医師
清水義雄
チーム医療で社会復帰を支援 |
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ナースセンターから
看護部長
矢野裕美
「相手の立場で」気長に向き合う |
http://www.mannari.or.jp

岡山市北区谷万成1-6-5

086-252-2261

JR三門駅から徒歩約10分





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