

重症心身障害児・者の基礎疾患(もともとの病気)や障害、合併症治療について旭川荘療育センター児童院(岡山市北区祇園)の片山雅博院長代理(小児科)に聞いた。
―児童院は重症心身障害児施設ですね。
重度の知的障害があり、併せて重度の肢体不自由もある方に入っていただいている施設です。医療が必要で、在宅では生活の難しい人たちです。在籍者は237人(男性134人、女性103人、4月1日現在)、年齢は0歳の乳児から75歳まで、平均年齢は43歳台です。
重度の知的障害とは具体的には、しゃべれない、こうやって会話はできない。重度の肢体不自由とは、歩けない、だから寝たきり、もしくは座るのが精いっぱいです。
普通の病院は病気の時だけ入っていただき、良くなったら社会復帰していただくことになります。しかし重度障害の基礎疾患は100パーセントとは言いませんが、今の医学の力では治らないような病気ばかりです。だから児童院は病院でもあり、生活の場でもあるのです。「療育」と言って、医療や看護だけでなく理学療法、作業療法、言語聴覚療法、生活支援なども行っています。
―在籍者の方々にはどのような基礎疾患や障害があるのですか。
基礎疾患はさまざまで分類するのが難しい部分もありますが、生まれる前からの病気、生まれた時の病気、出生後―の三つに分けるのが分かりやすいでしょうか。
生まれる前からの病気は、先天性代謝異常、先天性の脳の奇形、変性疾患(中枢神経の障害がだんだんと進行する)などです。先天性代謝異常は、遺伝子の異常で体内の代謝に必要な酵素ができず、余計な物質がたまったり、必要な物質が不足し脳に悪影響を与えて障害を起こします。
生まれた時の病気は、例えば低出生体重児(早産児)の場合、すべての機能が未熟で肺も広がらず、空気が入らないため、低酸素性脳症による脳の障害を起こします。新生児仮死(誕生時に産声を上げない)も同じように脳の酸素が不足し障害が起きるのです。
出生後は、事故で頭の中に出血したとか、うつぶせのままソファで窒息していたとか、病気で言えば、インフルエンザ脳症や日本脳炎、化膿性髄膜炎で、脳に大きな後遺症を残すような場合です。
―そうした基礎疾患や障害には合併症が伴うのですね。
重度心身障害のある人たちは、障害のない人と比べて、精神的にも肉体的にもストレスが相当大きいのではないかと思います。寝たきりで、好きな物を食べられるわけではないし、コミュニケーションも難しいからです。胃潰瘍(かいよう)、十二指腸潰瘍になる人もおられ、そうした合併症の兆候を早期に見つけ、適切に対処しています。
中枢神経系に障害のある人は喉頭蓋(こうとうがい)がうまく働かず、食べ物が気管に入ってしまいます(誤嚥(ごえん))。食べ物は無菌ではなく、気管に入ると病原性を持つ場合もあり、肺炎を起こします。これが合併症の一つである誤嚥性肺炎で、治療法は端的に言って抗生物質の投与です。
胃食道逆流現象は、いったん胃に入った物が食道の方に出てきてしまう合併症です。食べた物は横隔膜と噴門括約筋の締まりで逆流を防いでいますが、中枢神経系に障害のある人は腹圧が上がると逆流してしまう。具体的な症状は、嘔吐(おうと)であったり、胃酸が食道に入って逆流性食道炎を起こし出血、吐血します。誤嚥もあります。
液体は逆流しやすいので、食事のときに増粘剤を使って食べ物の粘性を増したり、小分けにしたり、上体を起こした姿勢で食べてもらっています。誤嚥による肺炎を繰り返すような場合、鼻や口からチューブを入れて栄養を取るようにしたり、もっと言えば、胃瘻(いろう)(腹に小さな穴を開け、そこから栄養補給を行うチューブを胃に固定する)をつくることもあります。
ただ、胃瘻をつくるかどうかの判断はなかなか難しいですね。私たち医師も、親御さんも、たぶんご本人もでしょうけれど、食べることができなくなると、いくら栄養が入っても人生楽しくないと思うでしょう。単に栄養を注入しただけで済む問題ではありません。
―児童院が目指すものは。
自らの意思を表現できない人の人権を守り、障害がありながらも人がどう穏やかに人生を過ごしていくかを、われわれ職員が考えて提供していかねばなりません。児童院の根本的な目的は、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)の向上です。QOLはよく「生活の質」と訳されていますが、「生活」だけではなく「生存」や「生命」も含めて広い意味にとった方が良いと、私は思っています。
療育のあらまし
重症心身障害児・者の区分法では、元東京都立府中療育センター院長・大島一良氏の「大島の分類」=表参照=が広く知られる。これによれば、1、2、3、4の範囲にある人が狭義の重症心身障害児・者とされる。
日本初の重症心身障害児施設・島田療育園(現・島田療育センター、東京都多摩市)は1961年にできた。旭川荘療育センター児童院は67年の開設だ。療育はそもそも「治療」と「教育」を意味していたといわれるが、片山院長代理によると、現在の療育は理学療法、作業療法、言語聴覚療法などが主体だという。
児童院で行われている理学療法は、重度障害のある人の身体に起こる変形(筋の緊張が大きいために起きる)を防ぎ、関節の可動域や呼吸機能を維持するものだ。作業療法は日常生活支援に主眼を置き、障害のある人が自分で動いたり着替えができる能力の維持を図り、むせずに安全に食べられるよう援助している。言語聴覚療法は、五感を働かせる体験を通してコミュニケーション手段を獲得できるような取り組みを行っている。
2009年度、児童院の在籍者(237人)のうち理学療法を受けたのは102人、作業療法が150人、言語聴覚療法が56人だった。
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小児 県南東部 子供 |
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重度心身障害 旭川荘療育センター児童院 片山雅博 |
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第23回 乳がん おおもと病院 山本泰久理事長・名誉院長
第22回 悪性リンパ腫 岡山労災病院 矢野朋文・第2内科部長
第21回 緩和ケア 岡山済生会総合病院 石原辰彦主任医長
第20回 乳がん 川崎医科大付属病院乳腺甲状腺外科・園尾博司部長
第19回 うつ病 万成病院 小林建太郎理事長・院長
第18回 統合失調症 慈圭病院 武田俊彦副院長
第17回 重症心身障害児・者の医療 旭川荘療育センター児童院 片山雅博院長代理
第16回 尿路結石 岡山中央病院 入江伸医師
第15回 感染制御 光生病院 吉本静雄副院長
第14回 手の外科 笠岡第一病院 橋詰博行院長
第13回 小児整形外科の三大疾患 旭川荘療育センター療育園 小田浤院長
第12回 大腸がん おおもと病院 磯崎博司院長
第11回 膀胱がん 松田病院 森岡政明診療部長
第10回 皮膚がん 川崎病院皮膚科 荒川謙三部長(院長補佐)
第9回 未破裂脳動脈瘤 岡山旭東病院 吉岡純二診療部長
第8回 心筋梗塞 心臓病センター榊原病院 山本桂三副院長
第7回 人工関節(MIS) 岡山労災病院人工関節センター 難波良文センター長 
第6回 食道がん 岡山大病院消化管外科 猶本良夫科長
第5回 肺がん 岡山赤十字病院 渡辺洋一副院長
第4回 大動脈解離、大動脈瘤 国立病院機構岡山医療センター心臓血管外科 岡田正比呂医長
第3回 胃がん 倉敷中央病院 小笠原敬三院長
第2回 肝がん(外科手術) 岡山済生会総合病院 三村哲重副院長
第1回 糖尿病 川崎医科大付属病院 加来浩平副院長
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院長室から
院長
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人権尊重して命を守る |
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診察室から
院長代理(小児科医師)
片山雅博
障害の状況に応じQOL向上 |
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ナースセンターから
看護課長
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日々寄り添い、変化に気づく |
http://www.jidouin.jp

岡山市北区祇園866番地

086-275-1951

山陽本線岡山駅より、両備バス旭川荘行きで40分、終点旭川荘で下車 JR高島駅より両備シャトルバス旭川荘行きで10分 旭川荘で下車





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