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| 患者の肺の画像を見ながら同僚と治療方針を検討する石田医師 |
日本人の死因でがん、心臓病、脳卒中の三大疾患に次いで多いのが肺炎。二〇〇五年の場合、全国で十万七千人が亡くなり、全死因の一割を占めた。大半が高齢者。近年は、ふだんから口の中にある細菌が食物とともに誤って気管に入り炎症を起こす誤嚥(ごえん)性肺炎も寝たきりのお年寄りらに目立っている。
「集中治療室への入院が必要な超重症から、外来で対応できる軽症まで患者の重症度が幅広い。病原体や治療薬の選択肢も多様」。肺炎入院患者が年百五十人以上と岡山県内有数の倉敷中央病院(倉敷市美和)の石田直・呼吸器内科主任部長は治療の難しさをこう語る。
「一方でコモンな(ありふれた)病気だけに専門医以外が診ることも多い」。そこで取り組んでいるのが、医師によるばらつきをなくす治療の標準化だ。
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石田 直
医師 |
その基礎が一九九四年から積み重ねている症例調査。日常生活の中で感染した「市中肺炎」の入院患者について病原体、治療薬、臨床経過などのデータを蓄積している。これまでに集めた症例は千六百を超え、同様の調査で国内最大規模。石田が米国の学会に参加した際、調査を基にして治療ガイドラインを作成しているのを知り、「日本でも必要だ」と始めた。
調査結果を基に二〇〇〇年、同病院での治療指針となる「クリニカルパス」を作成。さらに〇五年、石田自身が作成委員を務めた日本呼吸器学会の診療ガイドライン改訂でも資料に活用。病院の枠を超え全国での治療の標準化に役立った。
肺炎は薬物治療中心。その中で石田が心掛けるのは病原体を見極め、的確な薬を使うこと。肺炎の病原体は代表的な肺炎球菌のほか、インフルエンザ菌、若年層に多い微生物の一種・マイコプラズマ、クラミジアなど数多い。守備範囲の広い薬を処方しがちだが、薬が効かなくなる病原体の耐性化を招く恐れがあると懸念、重症例などを除き使用を避けている。
同病院のクリニカルパスでは患者を三つに分け、推奨薬を示している。すべての患者に入院時、肺炎球菌の尿検査とたんの顕微鏡検査を実施。肺炎球菌の恐れが強い場合はペニシリン系を中心に投薬する。
検査で病原体が特定できない患者は、六十歳未満▽基礎疾患がないか軽い▽頑固なせきがある▽白血球数が正常―の判定基準をすべて満たせば、マイコプラズマやクラミジアによる「非定型肺炎」とみてマクロライド、テトラサイクリン系を投与。それ以外は細菌性肺炎としてペニシリン系などの抗菌薬を併用する。
このパスに従い治療した患者の入院期間は平均一週間余。導入前に比べ四日近く短くなった。「治療費の削減や患者への教育効果もある」と石田。治療の標準化によるメリットを説く。
京都市出身。京都大卒業後、国立姫路病院(現・姫路医療センター)をへて一九八八年に倉敷中央病院へ赴任。肺がんの抗がん剤療法やぜんそく、肺気腫、慢性気管支炎などの治療にも力を注いでいる。四十七歳。
(敬称略、中浜隆宏)
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